会長挨拶

上村家の始祖、初代春庵(享保八年~享和四年(文化元年))は江戸時代の中頃、江州(近江の国)琵琶湖の近くで医家に生まれ、江戸時代に於ける日本三医人の一人として著名な京都の吉益東洞の門に入り医学を学び、さらに明和元年長崎に赴き、蘭学修業中の安永六年、佐賀鍋島藩に五人扶持の医師として召し抱えられた記録が残っています。それより明治維新によって幕藩体制が終わる六代春甫に至るまで代々佐賀鍋島藩の典医を勤めています。

 

五代春庵は、安政五年佐賀藩医学寮が設立されると指南役差次を拝命しています。

 

六代春甫は医学寮(好生館)の教師、県立病院唐津分院長などを歴任しながら、明治四年二月一日に松原町八幡小路の医学寮跡地で開業しています。

 

上村病院は、この日を創立記念日として、今年、満百五十三年を迎えることとなりました。

 

七代春庵は東京大学医学部を卒えて明治四十一年に帰佐すると、新しい病院の建築に着工し、明治四十三年一月九日竣工、内科・外科のベッド数六十床の近代的な病院を完成させています。

 

八代周甫は昭和四十二年八月一日に医療法人春陽会を設立し、昭和四十五年二月一日に、鉄筋コンクリート造五階建て百二十床の医療施設を竣工しています。その後、私が大学での研修を卒えて帰るのを前に昭和五十六年増築し二百床としました。

 

平成五年十二月一日、兵庫町へ新築移転し、介護老人保健施設みどりの園を初めとして佐賀市在宅介護支援センター、ホームヘルプサービス、訪問看護ステーション、介護サービスセンター、デイサービス等の介護サービス施設の整備を行ってまいりました。

 

平成十七年八月一日に社会福祉法人春陽会を設立し、平成十八年四月に鍋島町蛎久に特別養護老人ホーム『春庵』を開設。さらに平成二十一年四月からは地域包括支援センター佐賀市城東の業務委託を受けました。平成二十四年には病院に近接して、地域密着型サービス施設のグループホーム、小規模多機能施設、認知デイの事業所を開設し、令和三年には介護付き有料老人ホーム兵庫の郷、介護医療院兵庫の郷を開設いたしました。これからも、上村病院を中心として、地域の医療・介護・福祉に貢献できる体制を整備していきたいと考えています。

 

私は『之を養うや春陽の如し、誠実に王道を歩む』をモットーに、今後も最新の医療機器の整備や医療環境の充実とともに利用者の方たちに安心して利用いただく施設整備を行いながら、職員が働きやすい職場を確立し、当法人の本来の目的である保健・医療・福祉そして介護の公平な普及と充実のために、人々の健康を願い、熱意と誠実と愛情と思いやりの心をもって努力してまいる覚悟でございますので、何卒、皆様方の変わらぬご指導、ご鞭撻の程よろしくお願いします。

  

    医療法人 春陽会
     会長 上村 春甫